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福岡市中央区春吉

久保田ビル オーナーインタビュー


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久保田穣税理士事務所 代表 久保田 穣さん

2016年よりリノベーションプロジェクトが進行中で、ストックデザインラボのオフィスも入居する久保田ビル。今回は、その久保田ビルオーナーである「久保田穣税理士事務所」代表の久保田 穣さんにお話を伺いました。
築56年になるビルの成り立ちや久保田さんの型破りな半生、そしてリノベーションが完成したばかりのオフィスの様子も交えてお伝えします。

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春吉に建った、最初のビル

久保田ビルの竣工は1962年。
当時は、木造の低い建物が立ち並んでいたという春吉に一番初めに建設されたビルでした。4階建ての外観は昭和モダンな風貌。味わいある伊万里焼きのタイルと重厚感あるフラワーポット、そしてビル内に入ると柔らかな光が注ぐパティオが特徴です。
建設を決めたのは久保田さんのひいおばあさん。建てる前は「大安(だいやす)」という水炊き屋さんを営んでいましたが、その後、市議会議員だった久保田さんのおじいさんの議員事務所と賃貸ビル経営を目的に建てられました。
それから56年の間、おじいさんが長らくこの場所に事務所をかまえる中で、久保田ビルは春吉の街に根付いていきます。
一方、幼少期からここを「じいちゃんばあちゃんち」として認識していた久保田さんは、大人になるまで、ただただ古いビルという印象であまり好きではなかったと言います。しかし27歳のころビルの経営を継ぎ、事業をおこなって行く中で、周りの人にレトロビルとしての価値を再評価され、新たな視点で久保田ビルの魅力に気づき、だんだんと愛着が湧いていきました。
そして、34歳のころ、おじいさんの事務所があった部屋で久保田穣税理士事務所をかまえることになりました。
しかし税理士事務所を創業するまでの久保田さんの歴史は、想像以上にとても濃いものでした。

スロット打ち、営業職、そしてアメリカン・ドリームから税理士へ

17歳で高校を中退した久保田さんは、友人に誘われてスロットを始めます。やりだすととことん突き詰めたくなる性格もあり、うまくいかない経験を重ねるごとに勝つための方法を研究し、1年後には大変贅沢できるほど稼いでいたとか。その時すでに後輩を率いて複数のスロット台を打っていたりと、組織を動かす素養が生まれていたようです。

そうして22歳までスロットを続けていた久保田さんですが、未来のことを考え営業職に就きます。その仕事は想像以上に大変なうえ、年収はスロット業の4分の1。苦しい日々だったそうですが、石の上にも3年。25歳まで勤め上げました。しかし「どうにもうだつが上がらない!」と心機一転、アメリカンドリームを求めてNYへ。2年弱暮らしたとか。
側から見ると、なんとも予想のつかない足取りのようですが、それぞれの場所でどっしり構えて判断していたことが伺えました。

その後、27歳で帰国した久保田さん。周りを見渡せば、同世代の友人たちは、一人前に仕事をしているころ。「いまからまたサラリーマン始めるのもなあ、周りをゴボウ抜きにする方法は…」と久保田さんらしい発想から「経営者」という選択肢にたどり着きました。そして「税理士」を志した理由は、「どんな仕事をしているか分からんけど自由そう」とこれもまた久保田さんらしい考え。それから専門学校に通い、税理士資格取得への勉強を始めたそうです。
その後、税理士事務所に勤めながら資格を取得し、34歳でいまの久保田穣税理士事務所を創業しました。

この本流のエピソード以外にも、相撲や山笠、レゲエ音楽のセレクターなど、多方面での活動も続け、それぞれのつながりを長く大切にしてきました。特に相撲の稽古で体を使うことは、心と体のバランスを鍛えることに役立っているそうで、久保田さんの頑丈な印象は心の鍛錬からも生まれているようです。

また久保田さんは、「振り子の原理で、ひとつを振り切ってやれる人は、他も同じように振り切ってやれる振り幅を大きく振れる人は、反対側にも大きく振ることができる。」と語ります。それを日々体現し続け、周りから自然と信頼が寄せられていているようでした。
破天荒に見えて、真っ直ぐな性格と人情の厚さ。そんな久保田さんだからこそ、税務を任せたいというお客さんの気持ちがよく分かります。

これからも二つと無い存在で

業界の印象や一般的な常識が凝り固まっていくほど、チャンスが増えて追い風に感じるという久保田さん。
AIの導入で税理士の仕事がなくなるのでは、とささやかれている中でも久保田さんは、AIが導入されると作業がどんどん楽になって、本来税理士がやるべき経営全般のサポートに時間を割くことができるので、AIの発見は大歓迎です!と言います。それは、「自分のキャラクターにとって代わるものはないから」と語るように、周りからの信頼を含めて唯一無二の存在であることは確かなようです。
「95%の人から少しずつ支持されるより、5%の人に熱狂的な支持を受けて、必要不可欠な存在として共に成長していくことを目指す」と語るその表情は一見強面に見えますが、それは裏表のない信念の表れであり、自分も一緒になって同じ船に乗って進みたいと思える存在感でした。きっとこれからも久保田さんの周りには、明るく新しい風が吹いていくことと思います。

ストックデザインラボがデザインを担当し、リノベーションが完成したばかりのオフィスは、モノトーンを基調に古さを活かした久保田さんらしい大人な雰囲気に。
一緒に働くのは、専門学校で共に学んだメンバーが中心。久保田さんとの深いつながりを感じる距離感や、アットホームな雰囲気を感じることができました。
これからもさまざまな人が行き来する場所へと変わり続ける久保田ビル。
その変化を楽しんでくれる久保田さんと共にストックデザインラボもこれからの久保田ビルをつくっていきたいと思います。
(山下舞)

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